歯科医院の第三者承継 ①評価方法
前回のコラムでは「歯科医院の親子承継」について解説しました。
最近は子が引き継ぐのではなく、第三者に引き継いでもらうケースも増えてきました。
第三者間で歯科医院の売買をするときは、いくつかの評価項目があります。
今回は歯科医院を売買するときに、どのように評価して進めていくのか? について解説していきます。
固定資産
確定申告書の固定資産台帳に歯科医院の内装工事の明細があります。
工事をした時の資産価値が記載されています。
未償却残高がまだ経費にしていない残りの資産価値です。
歯科用ユニットやレントゲンなどの器械も資産としての価値があります。
資産は財産目録として作成します。
借入金やリース取引
歯科医院に借入金などの債務が残っているかを確認します。
返済期間が残っていれば債務の処理をどうするのか。
リースがあれば返済をどうするのか。
こういったことを確認していきます。
債務を引き継ぐのであれば資産から債務を差し引いた残りが資産価値になります。
テナント契約か自己所有か
歯科医院の物件が、テナント契約か自己所有かで評価が変わります。
テナント契約であれば、引き続き賃貸借契約を続けられるか。
新しい賃借料や退去時の工事はどうなるのか。
こういったことを確認していきます。
土地建物が自己所有の場合、土地建物も含めて医院の売買とするのか、賃貸借契約にするのかを決めます。
診療収入
歯科診療収入やレセプト件数を確認します。
確定申告書で年間の保険収入がわかりますが、直近3ヵ月の診療収入の月計表も参考になります。
レセプト件数が多ければ評価も上がります。
自由診療収入は個人の属性が大きいので評価しないことが多いです。
従業員の雇用
個人の歯科医院だと、既存の医院は廃業することになるため、働いている従業員は退職になります。
いつの時点で通知するのか、新しい医院で働く場合は条件をどうするかがポイントになります。
退職金の有無も確認します。
立地特性
駅前やスーパーなど沢山の人が行き交う場所の歯科医院であれば集客力があります。
人通りの多い場所の歯科医院であれば、好立地なので高評価になります。
売買金額を決める
上記の内容を判断しながら歯科医院の売買金額が決まります。
買う側はできるだけ安い金額で購入したい、売る側はできるだけ高く買い取ってもらいたいと考えます。
双方の思惑は違いますが、折り合うラインを見つけて売買を進めていきます。
次回は第三者承継の際、購入する側の注意点について解説します。
執筆:税理士 森川 敏行(プロフィール)