歯科医院の第三者承継 ②購入側の注意点

歯科医院の第三者承継 ②購入側の注意点

前回のコラム「歯科医院の第三者承継①評価方法」に引き続き、第三者承継のお話です。
最近は開業資金の高騰により、できるだけ費用を抑えて歯科医院を開業したい方は、居抜き物件での開業も選択肢の一つとしてありだと思います。
ただ、第三者承継で歯科医院を購入する場合には注意点があります。今回は購入する側の注意点について解説していきます。

購入する側は相手方から出された査定の資料をもとに、金額を判断します。帳簿価額は必ずしも時価としての価値ではありません。帳簿価額で判断すると価値のないものでも、使用できる価値があります。例えば、ユニットの法定耐用年数は7年ですが、実際はもっと長く使用できます。つまり、帳簿価額は低くても、使用価値は高くなります。内装も壁紙や床をリフォームすると、法定耐用年数より長く使えます。帳簿価額だけでなく使用できる価値で判断します。

相手方に借入金やリースなどの債務があるときは、返済をどうするのか確認します。
相手方が返済するなら関係ありませんが、引き継ぐのが条件なら債務を引いた残りが評価金額になります。

テナントの場合、居抜き物件でも引き続き賃貸借契約を結べるかを確認します。その際、新しい賃貸借契約の賃借料や保証金もみておきます。従来の賃借料と変わることがあります。
所有物件の場合も賃借料や保証金を確認します。

個人事業だと、新しい歯科医院の事業主は違います。以前の歯科医院で働いていた従業員は全員退職になります。
従業員の引き継ぎの有無についても契約に盛り込みます。安易に従業員を引き継ぐとトラブルになります。一旦採用すると解雇は難しいので、慎重に進めてください。
従業員を引き継ぐとしても、前の歯科医院は退職してもらい、新院長が面談をして採用条件を説明します。その条件でお互い合意に至ることができたら、新しい歯科医院で働いてもらいます。
一般的には、従業員が数人程度の場合は個別に面談をして、双方の条件が折り合えば働いてもらいます。従業員が10人以上の歯科医院の場合は、従業員を引き継ぐことを前提に進めます。そうでないと歯科医院の業務が回らなくなります。

上記のような内容に注意しながら、第三者承継の話を進めていきましょう。

歯科医院の承継や、新規開業などお悩みのことがございましたら、ぜひお問合せフォームよりご連絡ください。

執筆:税理士 森川 敏行(プロフィール

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